帯状疱疹(ヘルペス)・帯状疱疹後神経痛の治療
帯状疱疹は、小児期に罹患することの多い水痘(みずぼうそう)の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスが免疫力の低下を契機に再活性化することで生じる疾患です。
症状には①ピリピリとした痛みを伴う、②体の左右どちらか片方だけに出現する、といった2つの大きな特徴があります。まずピリピリとした痛みがあり、次第にその部位に周りに赤みを伴う水ぶくれがたくさん生じて、その後水ぶくれが乾いてかさぶたになって終息するという経過をたどります。ウイルスの病気なのでウイルスの増殖を抑える薬を使用し、皮疹と痛みに対してはそれぞれ外用薬、鎮痛薬を使って治療を行います。インフルエンザで使用されるタミフルが症状発症後48時間以内に開始しないと意味がないのと同様に、帯状疱疹もみずぶくれがかさぶたになってしまってから抗ウイルス薬を開始しても適切な治療開始時期を逸してしまうことになりますので早期治療が大切です。中にはかぶれややけど等と間違えて放置されているケースもありますので少しでも気になる症状がありましたら自己判断せずに是非皮膚科を受診してください。
また、痛みが後々まで改善せずに続いたり悪化したりすることがあり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。神経痛の程度は様々ですが、これを契機にうつ状態となる場合もあり注意が必要です。十分な安静による体力回復が重要ですので、無理をしないようにしましょう。神経痛に対する治療としては各種鎮痛剤やビタミン剤などの内服治療を行いますが、それらが有効ではない場合にはペインクリニックでの治療が必要となることがあります。
顔面に症状がある場合、皮疹が左右どちらかだけではなく体のあちこちに見られる場合、痛みが非常に強い場合等は入院加療が必要となることが多く、そのような場合には入院加療のできる病院に紹介させていただくことがあります。
尚、当院では痛みだけで皮疹のない症例に対しては抗ウイルス薬の処方はしておりませんのでご了承ください。